2009/06/24 Wed [長年日記]
風子のいる店
ほのぼの系かと思いきや結構あぶない話も多くて、岩明均さんっぽさが当然の様に出てますね。これがデビュー作品だそうです。絵柄なんかは今の方が若干サッパリしてるけど、当時から既に完成してますね。
吃音症の女子高生が内気な性格を直すため喫茶店でアルバイトを始め、喫茶店の客や学校の友人を中心とした人々に囲まれ、様々なエピソードを経験する事で人間的に成長するって感じの話。この一つ一つのエピソードが非常に些細なものから、描写以上に危機一髪(ていうか普通にアウトなものも少なく無い)な物まであって、特に後半はさらっと描かれていても実際に起こったら普通にトラウマになりそうな物が多い。
あとがきというか解説というか岩明均さん自身による巻末文ではエピソード作りには相当苦労した、精神的にキツかったという様な事が書かれていて、それはそうなのだろうなと素直に納得できる訳だけど、話の完成度は高く非常に面白くて巻末の文章を読んだうえで数々のエピソードを振り返ってみると、ますますプロだなと思う。
2009/06/23 Tue [長年日記]
八月の路上に捨てる
ミカ!よんで面白いなーと思った伊藤たかみさんの八月の路上に捨てるを読みました。初めに読んだ印象は、吉田修一さんの flowers に設定とかが似てるなーという事。
別にぱくりとかそういう事ではなくて、仕事とか環境とか雰囲気とかが似ているだけなんだけど、雰囲気が似ていると書いた様に全体的に通じると事があり、第一印象は flowers っぽいなと。だけどこちらの方がさっぱり目で易しく分かりやすく、似ているだけに違いがはっきりと分かる。
ちなみに flowers 吉田さんが芥川賞を獲ったパーク・ライフ (文春文庫)に収録されている。八月の路上に捨てるも芥川賞を獲得した話で、ここもなんだか縁がある。
基本的に私は淡白な話は好きなので、これも良かったですね。微妙に寂し悲しい所が趣味にあっています。相当さっぱりしてるので、山あり谷あり伏線張りまくりが好きな人には退屈だと思います。
2009/06/22 Mon [長年日記]
ハリー・ポッターと死の秘宝
いやー、ホントに長かったです。死の秘宝も上下巻で1,000ページ程度と短くは無かったのですが、最終巻という事で、賢者の石から数えておよそ10年。ホントにこういう形で時間のかかる作品はまず読むべきではないと猛省しています。
ハリーポッター大好きという人も多いでしょうが、個人的にはそんなことは無くて、炎のゴブレットあたりでもう読むのは止めようと思ったし、不死鳥の騎士団は本当に面白く無くて困ったという印象が今でも鮮明に残っているのだけど、ここまで読んだから最後まで読もうという変な義務感で最終巻の7巻まで読む事が出来ました。
7巻自体は意外と上巻が面白くて、ほうほうと読み進められたのだけど、ストーリー的な進捗には全く貢献してなくて、そういう面では無くても良かった。下巻は終わりに向って畳み掛けていく話で、よく翻訳が酷いといわれるこのシリーズだけど、いままでは文章的にどうなんだと思う程度で、ある程度割り切って読んでいる自分にはさして問題でもなかったのだけど、下巻は文章的に意味不明な所が少なく無くてこれには参った。
最終的には下巻で急に出てきてやたらとページを割いた死の秘宝も結局何だったんだというぐらいに杖の存在感しかない。ストーリー的には一貫性や収束っぷりに納得感は無いかったのだけど、なんだかんだで大団円にまとまって良かった良かったという感じです。最終章は蛇足かなー。
(以降若干ネタバレあり)
いちばん印象深かったのは、スネイプはやっぱりいい奴だったって事と、それなのに一切報われる所がなくて大将の勘違いで無駄死にさせられるとか、本当に可哀想でしたね。反面スネイプと対になって出てくるイメージがジェームズ(ポッター父)にはあるのですが、スネイプが望みながらも得る事を出来なかった物を全て持っていたにもかかわらず、ほんと世間体以外に良い所が無い人でしたね。
ジェームズのなにが周囲から評価されたかも謎なんですが、ダンブルドアとかもそうですし、スネイプはその逆として顕著なのですが、単純な聖人君子は登場させたく無いというのが著者にはあって、一面的にならない様にしたかったのだろうけどバランスが取れなかった感がありますね。
そもそもストーリー的にジェームズは始まったときから死んでいるし、スネイプを通してしか見る事がなかったので片手落ちではありますが、なんでここまでスネイプは悲惨なのか。世知辛い想いをし続けていたスネイプですが結構かっこ良かったと思います。
そんなこんなで、お世辞にもおもしろかったとか、もっと書き続けて欲しいみたいな感想は正直言ってほとんど無いのですが(何様だっての、ほんとすいません)、全部読み切ったという達成感はありました。もう、それだけで大満足です。
2009/06/16 Tue [長年日記]
究極超人あーる
好きな人と苦手な人が別れやすいと言われる究極超人あーるですが、私は完全に好きな人では無いですね。別に苦手ではなないですが、ほとんど面白みが分かりませんでした。
私も良い歳ですのでネタ元が分からないものというのはそんなにないと思うのですが、理解できるから面白いという訳でもなく、知っていると分かっているの差みたいな物があるのかなと思います。笑いどころは過去に笑った事がないと印象として薄くて何が面白いのか分からないですね。そういう意味では時事ネタであると共に、いかに発表から年月を経ずに読んだかどうかが意外と大きいのではないだろうか?と思いました。評価もそれによって随分違うと思います。
ただ、勝手に改蔵を雑誌で読んで面白くて好きだったのに数年後に読み返してみたらそんなに面白くなかったという経験があるので、もっと違う所に原因があるのかなーとも思います。要は好き好きというか、全然分析できていません。
もうひとつちょっとあずまんが大王にも似てるかもしれない。常に今を生きていて思い出やイベントを楽しみつつも顧みない割に、その場に縛られている様な違和感があります。なんだか行き場がない人が吹き溜まってるみたいで、こんなにガヤガヤやっているのにトータルで見ると全然楽しそうな学園生活じゃないんですよね。なんでだろー?全員が全員図太くて感情が無いからかなー?不思議です。
2009/06/14 Sun [長年日記]
ガリレオの苦悩
東野圭吾さんの小説は最近流星の絆がすごく面白かったのですが、ガリレオの苦悩は淡白な話ばかりでいまいち面白みに欠けるものでした。
元々ガリレオシリーズは主人公の湯川が動機に興味が一切無いと言い切っていて、そのせいか犯行に及ぶ理由が理解しがたい物や粗忽な物が多く、ある意味ではとても現実的なのだろうけど、犯人が動機を供述したらそれが正解という事になっており事件としての納得感に欠けます。
同じガリレオシリーズでも直木賞を獲得した長編の容疑者Xの献身はその辺りが非常にエモーショナルに書かれていて、どちらかというと理屈では理解できないぐらい純粋な動機が熱く、ともすれば気持ちが悪い、異常としか感じられないスレスレの話を主観的に書く事で感情移入させ違和感の無い話(現実にあったらえらくチープに聞こえる話だとは思いますが)として納得がありました。
本作中でも事件に関する人間関係やその周辺の情報が非常に重要だと湯川は言っているのだけど、最近のガリレオ長編の聖女の救済と同じく、昔の東野圭吾風のトリックメインの話になっており、犯人の気持ちはそれとして科学的なトリックに焦点を当てトリックとして筋を通すだけの話になっているところがあり、いまいち面白みを感じる事が出来ませんでした。
意外と言ってはなんなのだけど、テレビドラマの影響で出てきたと思われる新人女性刑事の内海薫がハマっていて、草薙とのコンビだと草薙が卑屈になりすぎる所があったのだけど、なにか対等な関係と言うかバランスが取れていて良いコンビだと思えました。
さんざんトリック以外が疎かにされている様な事を書きましたが、ガリレオシリーズはこれでいいと思うんですけどね。
















