2008/07/22 Tue [長年日記]
イノベーションの神話
タイトルにおける神話というのは、でたらめ、間違い、思い込み、作り話といった方向の意味で、イノベーションに対する既成概念に捕われる事無く、イノベーションの実際の姿を冷静に観察したレポートの様な本です。
章のタイトルをみると反語的で多少ややこしいのですが、かえってストレートにどんな思い込みがあるのか分かりやすく、あるあるという所から始まって、よく考えたら丸で根拠無いんじゃないか?という結論に奇麗にたどり着くように出来ています。
基本的に、思い込み無しで考えたら当たり前という事も多く、良く言われて入るけどそんなに信じてる人居ないと思う様な事も多いのですが、少なくとも取り上げられている10章の中にこの主張は違うなぁと感じる物は無く、総じて納得できる内容でした。
- 1章 ひらめきの神話
- イノベーションのきっかけは一つのアイディアの正しさで完成形が出来る様に考えられがちだが、実際は研究や検証、改善の繰り返しで作り出されており、ブレイクスルーを生み出す様なきっかけは無い。ただしイノベーションと普及の結びつきは重要なので、ブレイクスルーの存在が語られる事はイノベーションにとって重要かもしれない。
- 2章 神話:私たちはイノベーションの歴史を理解している
- 多くの歴史は分かりやすい様に単純化されており、真実を語っているとは限らない。真実を完全に描写するにはこれまでの歴史と同じ時間が必要で現実的ではないのだから、歴史はひとつの見方に過ぎない。
- 3章 神話:イノベーションを生み出す方法が存在する
- イノベーションを生み出した人の習慣等を参考にする人が多いが、実際は多くの失敗の中に成功があっただけで、多くの場合運に左右され、成功を生み出す方法等存在しない。あえて言うなら沢山の挑戦をする、有り体に言えば数撃ちゃ当たるといえるかもしれない。
- 4章 神話:人は新しいアイデアを好む
- 人は概ね保守的で、実際多くのアイディアが失敗である事を考えればそれは正しい。今でこそ当たり前となった画期的なイノベーションもすんなり世間に受け入れられたわけでは無い。
- 5章 神話:たった一人の発案者
- 多くのイノベーションは発見、発明した人間が居る事になっているが、実際にはより多くの人間が関わっており、歴史に名を残していない人が基本的な事を実現していたり、普及させた人間が発案者になっている事もある。発案者を一人にしたがるのは歴史と同様分かりやすさが好まれただけ。
- 6章 神話:優れたアイデアは見つけづらい
- これは神話といえるのかちょっと微妙な感じがしたけど、自分で考えて自分を信じる事も大切という事でしょうか?批判はあんまり気にするなぐらいの感じで。
- 7章 神話:上司はイノベーションについてあなたより詳しい
- あまりこの神話を信じてる人は居ないんじゃないでしょうか。
- 8章 神話:最も優れたアイデアが生き残る
- これは必要十分で、簡単で手軽な物が、より優れた物を駆逐する事があるというイノベーションのジレンマが有名ですね。
- 9章 神話:解決策こそが重要である
- これも少し分かりにくいのですが、問題をきちんと定義する事で解決方法が増えるかもしれないという事でしょうか?同時にニーズ以外にもシーズというアプローチ方法もあるという事かな?
- 10章 神話:イノベーションは常に良いものをもたらす
- 火が無ければ焼け死ぬ人も少なかったし、車が無ければ事故で死ぬ人も居なかった。こういう事は良くありますね。全てはトレードオフで利点が勝ったにすぎません。
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