2008/08/05 Tue [長年日記]
ホルモー六景
鴨川ホルモーの世界を引き継いだ短編集。6篇からなるホルモーサイドストーリーなんだけど、ホルモーの話という訳ではなく、設定を引き継いでいるだけで日常的な話が多い。
鴨川ホルモー自体ホルモーという競技を持て余していた感じが大きかったので、ホルモーが無くてもストーリーがスケールダウンするという事は無く、王道っぷりでは敵わない物の負けないぐらいに悲喜こもごもがあって、仲間割れに終始する鴨川ホルモーよりも楽しい。
ただ、鴨川ホルモーの世界を引き継いだ話で、ホルモーに関しての説明や鴨川ホルモーでの主役級の登場人物に関しては一切説明が無いので、ホルモー六景だけ読むと当然の様に随所が意味不明でオチまで意味が分からない話が多い。
サイドストーリーだけで楽しめるように努力している本も世の中には多いけど、この本はその辺りはかなり割り切っていて、悪く言えば一見さんに不親切、良く言えば助長でない。というわけで、必ず鴨川ホルモーを読んだ上でホルモー六景を読む事をオススメします。
2008/08/08 Fri [長年日記]
ザ・万歩計
万城目学によるエッセイ集。誰が書いているかという点が多分に面白さを左右するジャンルではあるけど、初のエッセイ集(書き下ろしじゃないけど)という事もあってか、著者の自分語りが多くあって、万城目学を知らなくても楽しく読めると思う。
なんというか、見方や出来事の面白さというより、笑える面白話が多い。正直エッセイが余り好きでない自分としては、最近万城目学の著書をいくつか読んで、万歩計を読むと万城目学コンプリートだったので読んでみた程度の動機だったのだけど、良い意味で予想を裏切ってくれました。
オリーブの首飾りとPRIDEの話は声を出して笑った。
2008/08/11 Mon [長年日記]
コラムの花道
TBSラジオで放送しているストリームという番組の一コーナー「コラムの花道」のなかから面白かった話を選び抜いた傑作選です。コラムの花道というコーナーはコラムニストの人を招いてお話を聞くというコーナーなんだけど、実質的には曜日ごとに担当するコラムニストの人が面白ネタをプレゼンするという感じです。
内容は正直言うと玉石混淆というか、コラムニストの人選の幅が広く、好き嫌いというのをすごく意識させられて、荒唐無稽な話をする人のインタビューとか、主観的な話は文字に起こすとイマイチ面白く無いなぁと思う事が少なくありません。導入で小西克哉さん(ストリームのパーソナリティー)が、テレビやラジオをそのまま活字にした物はつまらない物が多いけど、コラムの花道は違うと書いているのですが、なんら変わりないと思いました。やはり活字にするとある程度まとまりがあって起承転結がキッチリしていないと厳しいかなと思います。
とはいえ、殆どの話は面白いですし、特にラジオを聞いていた人間にとっては再現性から感じる懐かしさや、時事ネタの枯れっぷり、話の筋を知っている事等が良い意味で既視感を感じさせてくれて、かえって新鮮味が増し、より面白く感じられる様に思います。
2008/08/12 Tue [長年日記]
もやしもん 6
5巻ぐらいから話にまとまりが出てきて、読みやすくなったもやしもんですが、6巻もヨーロッパ長谷川結婚式阻止篇という事で、ストーリー漫画としてまとまっています。
5巻からの流れで「ヨーロッパ長谷川結婚式阻止篇」と勝手に私は銘打ってますが、6巻の実際はブルゴーニュのワイン蔵のお家事情の話が中心になっていて、沢木、三沢、川浜トリオが結城クローンの(恒例のそっくりさんですが)マリーさん家のワイン蔵でお世話になったりしながら何となく話が進みます。基本的には成り行きに流されてるんですよね。殆ど関係ありませんが、マリーさんは今まで出てきた結城クローンの中ではいちばん魅力的なキャラなきがします。(といっても、田中恭子はちょっとしか出てないし、結城君自体なんだか立ち位置が微妙な上、男子ですからね。)
まぁ、なんだかんだでワイン蔵のお家のお話を軸に長谷川さんの結婚話も上手く片がついて、結婚はしなくて済んだ様です。多分この結婚の件はこれで終わりなのかな。龍太さん地味ながら良いキャラだったんですけど。
2008/08/13 Wed [長年日記]
オブジェクト指向でなぜつくるのか
最近WEBでオススメされているのを見て読んでみました。クラス設計の例が的を得ていない等を言い切っている所は素晴らしいなと思いました。
本書には出ていないけど良くある例で、自動販売機クラスなんかも、商品オブジェクトを集合として持っていたり、継承してタバコの自動販売機にしたり、メソッドを追加して年齢認証機能をつけたりと継承の利点を表してはいるけど、実際に自動販売機をクラスにするなんてのはECシステムに見立てたとしてもかなり無茶で、抽象化の粒度の点で誤解を招いているといった感じの指摘。これは実際に良くあるOOP導入の説明で、概念的には正しい反面、例が具体的でありながらも現実のプログラミングに即していない為、理解を阻害する効果の方が大きいと思う。
その他、OOPで得られるメリットの話や、OOP言語の内部的な実装の話、UMLの話が展開されているのだけど、これを読んでオブジェクト指向のメリットを活かした考え方を習得できるかどうかはちょっと怪しいですね。良い本だとは思うし、読んで損は無いとは思うけど、よくわかっていない場合というよりも、分かってきた時に理解を整理するのを助ける本のような気がします。
個人的にはOOP用のシンタックスを持っている言語(個人的には勉強にはJavaがお勧め。最近ならRubyもいいかもしれない。)ではStringクラス等の組み込みクラスを使って何かに特化した文字列処理クラス(例えばURI抽出メソッドとか、URIにリンクを貼るメソッドを持ったクラス等)を作ってみればクラス化でデータと機能を併せ持つオブジェクトのメリットは分かると思うし、継承による差分プログラミングやパターンの活用方法はWEBアプリ向けのオレオレフレームワークを作るのが一番手っ取り早いと思う。
2008/08/14 Thu [長年日記]
天然コケッコー
昨年公開された映画の天然コケッコーをDVDで見ました。漫画版の感想はこちら。
ストーリーは中学篇を総集編的にまとめていて、高校生編は全く扱っていないんだけど、登場人物やイベント等の再現性も高いし、ストーリーの起伏なんかも収まりが良くて良い所取り出来ていると思う。ちょっとテンポが速いので田舎っぽい時間の流れみたいなのはあんまり感じられないのだけど。
原作では中学篇は印象よりもかなり短いんだけど、とっても濃密だなぁと改めて思いました。なんだかんだでどうしても原作と比べて評価してしまう所があるんだけど、原作知らなくても全然面白いぐらいに出来は良い。映像作品という事で主観がはっきりしていて、漫画の連載とは違ってそよと大沢君意外の話が殆ど無いのが残念だけど、まぁ、これはしょうがないですね。
先生の結婚式の話とか結構好きだったんですが。あと、夏帆さんがすごくかわいい。
2008/08/15 Fri [長年日記]
キサラギ
昨日テレビ東京の木曜洋画劇場(洋画じゃないのに!)でなんとなく見たんだけど、思いのほか面白かった。
舞台劇用の脚本を映画にした様な感じで(とは言っても脚本はオリジナル)舞台の変遷が無く全て一つの部屋の中で進んで行く。ジャンルとしては推理とコメディーを混ぜ合わせた様な感じで、推理は推理で真面目にやってそこに違和感が発生して笑えるみたいな感じ。小ねたも多い。
テンポも良くて、意外性も多いし、なにより笑いどころが沢山で、テレビでたまたま見れたのは嬉しい偶然でした。
2008/08/21 Thu [長年日記]
武士道シックスティーン
高校女子剣道をテーマにした話で、ひとりは剣道に懸け、相手に勝つ事に拘(こだわ)ってきた磯山と、勝負が苦手で剣道の価値を人との競争以外に求める西荻の対照的な2人が中3の秋に市民大会で対戦し、春に同じ高校に進学し剣道部で出会うところから始まります。
話の筋は剣道に懸けてきた磯山さんが剣道で自己実現を図る事に疑問を感じて無気力っぽくなってしまう所に、西荻さんがフォローする事で二人とも成長する見たいな淡白な話なんだけど、これが分かりやすくも解のない問題だけに妙に深くて、どういう風に落としどころを見つけるのか興味深く読めました。
冒頭で剣道がテーマといったけど、実際には生きる動機とか人生とかを考えるという壮大なテーマを扱っていて、漠然としているのだけど普遍的でまとまりの良いお話です。何よりこの著者は分かりやすい話を書くのが上手ですね。読み疲れる事が無いです。
この著者の本は何冊か読みたいなーと思いました。
2008/08/23 Sat [長年日記]
ジョゼと虎と魚たち
以前原作小説を読んでいて、いずれ映画も見てみたいなと思っていたんだけど、最近機会があってみる事が出来ました。原作小説の感想はこちら → ジョゼと虎と魚たち
あらすじを端的に述べると、原因不明の障がいで足が悪くて家にこもりっきりの女の子にひょんな事から出会った大学生恒夫が、彼女の世話を焼くうちに色々あって一緒に暮らす事になってなんだかんだで障がいを乗り越えられずに別れるという話。
原作は非常に短くて、意外とさっぱりした話なんだけど、映画版は恒夫の周囲の話なんかが結構詳細に描かれていて、ジョゼとの思い出の描写なんかにも結構時間を使って表現しています。
原作からしてあんまりリアリティの無い話なんだけど、それを膨らませた上で特にはみ出す事もなく、ストーリー面でも、設定や映像環境面でも、意外と違和感なくありそーな話に出来上がっていて驚きました。好き好きはあると思うんだけど、納得度は高いと思います。
2008/08/25 Mon [長年日記]
頭痛に関して少し分かった事
過去にも触れていて、全く正反対の事を書いたりしているのだけど、昨日も偏頭痛にやられてしまったので、薬を使わずに直す方法をネットで調べてみた。おかげで偏頭痛の事が少し知識として分かってきた。
偏頭痛ってのは血管が膨張して血流が良くなりすぎると頭が痛くなるので、冷やした方が良いらしい。あとは横になって安静にするもの大事とか。私はお風呂に入ったりコーヒーを飲んだりすると少し収まると書いているけど、これは逆効果。理由は単純でお風呂に入ったりコーヒーを飲むと血流が良くなるから。このへんは分かりやすいね。同時にコーヒーを飲むと頭が痛くなる事があるという事も書いているのだけど、これはこの理屈で説明がつく。
私はあまのじゃくなのか偏頭痛時に風呂に入ったりコーヒーを飲むと痛みは和らぐと体験上思っているし、風邪の時も熱めのお風呂に入って寝れば直りやすいと体感で思っているのだけど、どっちも逆効果らしいのですね。
もしかしたら治療にはならないけど痛みを和らげる効果はあるのかもとか思ってたりする訳だけど、まぁそう考え続けるのも意固地な感じがして嫌なので素直に考えを改めようと思う。自分の事は自分が一番分からないという方がその逆より信憑性がある。主観より客観の方が冷静だし、自分の事は自分が一番分かってるなんてのは大抵苦しい言い逃れだ。
あと、季節の変わり目とか、気温の急激な変化(一昨日ぐらいからいきなり26度とかになってすごく寒い)とか、体温(単に風邪かと思って熱計ったら普段より0.5度も低かった)も多いに関係ありそう。血流の問題らしいのでたぶん血圧(私低血圧気味。朝は弱く無いよ。)も関係あると思う。
因に頭痛とコーヒーで検索してくる人って結構多いんですよね。偏頭痛持ちの同士の参考になると幸いです。
2008/08/26 Tue [長年日記]
ぼくは勉強ができない
山田詠美さんの小説は放課後の音符(キーノート)以来です。「ぼくは勉強ができない」を読んだ後「放課後の音符」も短編集じゃなくて、雑誌連載の都合と言う縛りに寄らず、一つの小説だったんだなと考えを改めました。
もしも「ぼくは勉強ができない」を先に読んでいたら、主観が複数あるだけで「放課後の音符」は一つ話としてまとまっているし、主体で話を分ける物というのは思い込みでしかないと気付けたはずです。実際キーパーソンが特定の2-3人の様に分かりやすければ明確に連続していると感じられただろうと思います。
このように、人に寄って感じ方の違いがあったり、文脈に寄って違う受け取られ方をしたりと、物の価値は同じ物でも主体に寄って随分異なるという主張が「ぼくは勉強ができない」に込められてると思います。それは主人公の時田秀美の客観的で本質的で一見視野の広そうな物の見方も結局は自分の立場を主体とした物でしか無いからです。
この話に登場した人物はそれぞれの環境や立場があって優越感ゲームにいそしんだりしている訳だけど、現実には多数派であったり少数派であったりはする物の、考え方や振る舞いに正解は無くて、どちらかが間違っていたり愚かだったりといった違いではなく、それぞれが主体的に生きているというただその事実だけが主観次第という主張から得られるメッセージなんじゃないかなと。
誰が一番賢くお得に生きたかというのを定量化する難しさと無意味さみたいな物を学校教育を通して浮かび上がらせる、そんなお話です。











