2008/09/02 Tue [長年日記]
アクセス
武士道シックスティーンを読んでおもしろかったので、著者の一番古い本を読んでみました。インターネットや携帯電話の通信料が無料になるというプロバイダーに加入した人間が次々と不可解な事件に巻き込まれるというホラーサスペンスです。
初期の方は通信料が無料になるプロバイダーという設定以外はリアリティがあったので本格サスペンスかなと思って読んでいたんだけど、中盤以降はマトリックスみたいな仮想世界の話になります。
仮想世界もありだと思うんだけど、事前にある程度枠組みを作ってその縛りの中で話を進めずに、これはこういう設定という著者の意向が要所要所に出てくる為、なんでもありの行き当たりばったりな印象になってしまったのは残念でした。
でも、面白い。この当時の描写は全体的に説明的で助長すぎるし、エンディングはご都合主義だし、感情的にもそれでいいのかと思う幕切れをするんだけど、それでもなんでか面白い。武士道シックスティーンに通じる読みやすさや筋の分かりやすさみたいな物が既にこの頃からあります。
2008/09/03 Wed [長年日記]
ジャージの二人
ジャージの二人。すごく面白かったです。タイトルからはスポーツものかサブカルものなんだろうなと思ったんだけど、親子の話で、内容的には人生。普通に避暑地で過ごす中での出来事の話として描かれるんだけど、それぞれの人生を歩む父と息子がどうやっても戻せない、無かった事に出来ない事象に悩みながらも生きて行く。
主観として描写される息子の問題は、その問題自体以上に対象に対する嫌悪感みたいな物が問題化してる部分があって、読んでる方としても嫌な感じを共有させられてしまうのだけど、外部から隔絶された山の中で考えるとも無く考えると、どう片をつけるにしろもう元通りにはならないという現状認識しか無く、問題の存在感と結局それを解消する事無く日常に戻って行くしかない所が、避暑地を特別な場所にしていて、ひと時ながらもなんだか良い時間を過ごした様な気分にさせてくれます。
2008/09/04 Thu [長年日記]
沈黙のクレーマー
日本人はお店で不快な体験をしても、文句は言わず黙って店に来なくなると外国でも認識されているらしく、日本人が通う店は不快になる要素が無く、良い店の証であると言った話を聞いた事があります。
これが本当に認識されている事実どうかは知りませんし、日本人以外がそれに拘らないのかどうかも分かりませんが、少なくとも自分が消費をしていてなにか嫌な事が遭った時に、改善を求めるよりも足を運ぶのを辞めるという選択の方が圧倒的に自然なのは日常から納得の事実だと重います。
嫌な物には関わらないという心理でしょうが、図らずも言論ではなく行動で示す抗議となっているのです。これがサイレントクレーマー。
まずはサイレントクレーマーの恐ろしさ。既に説明した様に黙って離れてしまう訳ですから、応対に苦慮する訳でも、事件に発展する訳でもありません。もちろん顧客が減る事でダイレクトに売り上げに響きますがそれだけでは収まらないのです。
- 不快な体験をした人が利用してくれなくなる
- 特に抗議等はされないので、問題を把握できない
- 不快な体験をした人がその事を友人等に話す
この要な大きな損失を招いてしまう問題を如何に察知して改善するか?という一連のノウハウを解説した本です。
内容の基本は、体験例を用いてお客様に不快感を与えてしまう例と紹介し正しい対処例を紹介するという物で、この事例の解説がが本書の大半を占めます。問題の発見方法は、覆面調査員を派遣してチェック(本書ではミステリーショッパー調査と呼んでいました)するようです。この組み合わせにより、発見、改善、共有というサイクルを作り、サービスの質を高め続ける事が支持される事業の秘訣なのだろうと思います。
2008/09/05 Fri [長年日記]
鉄コン筋クリート
松本大洋の代表作の一つなんだけど、好き嫌いが大きく別れる作品。一つは松本大洋の独特の絵柄ですが、これはこの作品に限らずどの松本作品も同じなので特には触れないとして、もう一つは説明のなさですね。これが感情移入型の人には好きな方向に自分で補完できるので好ましい場合が多いだろうし、客観的に受け身で読む人にはなんだかよくわからない、うすっぺらいという事になってしまうんじゃないかと思う。
多分これは意図的で、ストーリーが始まった所から終わる所まで、会話や自分語り的な独白によって設定が補強される事は無く、ストーリーの進行に従って描写される内容からしか新しい事は分からない。これは、ストーリーの組み立てやテーマに関しても同様で、色々なテーマの要素がちりばめられながらも、その殆どは葛藤が理論的に解説される事は無く茫漠とした印象であり、解釈を読者に任せている。
2008/09/06 Sat [長年日記]
猛スピードで母は
「ジャージの二人」が面白かったので、長嶋有繋がりで「猛スピードで母は」を読んでみました。ちなみに長嶋さんはこの作品で芥川賞をとっていて芥川賞作家だったんですね。文学界新人賞を獲った「サイドカーに犬」も収録されています。
ジャージも猛スピードもサイドカーも全然違う話なんだけど、どれも淡々としているにも関わらず抜群に面白いです。しかも灰汁が無くて読みやすい。それでいてらしさはあるという、なんだか不思議な感じですが。
表題の「猛スピードで母は」は、離婚した母が子供と一緒に暮らす話を、11歳(ぐらい)の子供の主観んで描く話です。この子が自分を客観視していて、器が大きいようでいて実際には主体性に欠けている印象でありながら、裏表は無く、親や親の恋人、血縁者等を少し距離を置いて観察しており、達観しているようで居ながらも、子供故に現実に翻弄される。この子とは客観性と主観性が全く逆だったいかにも普通な自分にも妙に理解できる、それが逆にリアルな賢い子供像に思えた。
同時収録のサイドカーに犬は、ほんの少し非日常的で、それだけに起伏もあって分かりやすく面白いです。
この2編に共通する、落ち着いた子供の視線というのが非常に興味深くて、大人を客観視し猛烈に空気を読んで行動しているにもかかわらず、親におびえたり卑屈になったりする事も無く、かといって大人を馬鹿にしている訳でもないという、なにか悟っているような無欲さ、期待の無さが印象的で妙に格好よかった。
なんというか、こういう子供の格好よさってのは子供には理解できないだろうなと恥知らずにも思いました。子供カッコいい!そんな話です。
2008/09/20 Sat [長年日記]
ハローサマー、グッドバイ
復刊であり、新訳らしいのですが、初めて読むので特に思い入れは無し。ただ、評判は非常に高く、特に評価の高いSF物は鉄板が多いので期待して読みました。
戦争中の国に住む主人公が役人(この世界の役人に公僕という概念はないらしい)という地位のある親と一緒に毎年休暇で避暑にいく海辺の街に赴く所からはじまり、昨年出会ったその街にすむ少女ブラウンアイズと再開し話が発展し始める。
完全に太陽系とは別の星が舞台のお話で、特に断りがなければ地球と同じような環境であるものの、地球とは違った多くの動物や自然現象、文化や科学技術が発達している。そんな中で異様とも思えるぐらい嫌われているのが寒さであり、卑語として寒さに関する形容が用いられる。英語で言うShitに値する言葉が、氷結とか冷血とかいった言い回しになる。
この寒さに対する恐れというのがお話の軸だったりするのだけど、SF物の定番とも言える天体&歴史というテーマ以上に恋愛要素が強く、特に何をしている訳でもないのだけどヒロイン・ブラウンアイズの圧倒的な存在感は不思議としか言いようが無い。しかしストーリーは自然を超越した宇宙レベルの脅威に対する人間の愚かしさが後半に一気に大きくなって流されるままに収束する。
ストーリーの筋自体は非常に単純で、序盤から戦争に対する疑問は察しがつくし、環境の変化の事も小説的なストーリー運びからメタ的な視点(やたら寒さについての文化に触れるのでこれが噛んでくると考えるのが自然ですよね)で大きな伏線になっているのがわかっているのだけど、未来の人間が過去の脅威敵な自然現象について考える時に欠落しがちな、今を生きる者達の苦悩が描かれており、今地球でこのような事が起こったら絶対に同じ轍は通らないだろうと思うものの、この小説の辿る展開にもリアルさを感じる事が出来る。
最後は予断のある終わり方になってはいるのだけど、恐らく小説内で示された楽観的な解釈は主人公の主観であって、そのままに捉えるのは言葉通り楽観にすぎて(議員が生き残るとは思えず、生き残るのは地上の人だろうけど)、普通に悲しいお話として捉えるべきなんだろうと思う。当初のイメージとはまったく異なる物の非常に印象深い話でした。
2008/09/21 Sun [長年日記]
スティル・ライフ
アルバイト先で知り合った主人公に名義を貸り、3ヶ月間、慎重に株で利益を積み上げる佐々井。佐々井という男は何者なのかという謎を軸にて話は進むが、あっさりとそれが明かされた後は人生や生活の価値を見つめるという普遍的な話になる。
佐々井が正体を明かした後に話していた、草食動物の暮らし方というのが非常に魅力的に感じられるが、それは語り口やストーリーの組み立ての旨さからくるものだと思う。そういう意味で小説的に非常に面白い。
草食動物の暮らしと例えた佐々井の生活が still(静か) なのかというと、実際的にはそんな生温い物ではないと思うのだけど、それも主観次第で佐々井にとっては、そして主人公である僕にとっても納得できる物に感じられたのだろうと思うし、あこがれという点では刹那的に、逃避的に素敵な生活に感じられる部分は間違いなくある。
同時収録のヤー・チャイカも、リタイアするというか、辞める、無理をしないという事を前向きに捉えたお話で、登場人物それぞれが魅力的で、スティル・ライフに負けないぐらい素敵な話です。
2008/09/22 Mon [長年日記]
パラレル
ジャージの2人を下敷きにしたような設定で、長嶋有初の長編との事。ページは200ページちょっとなので、長編という響きからするとちょっと少ないけど、150ページ超えたら長編なのかな。以前芥川賞で200ページ超の作品が受賞した事がある様な気がするけど、原稿用紙じゃないので、組版によるページ数の違いなんかもあるだろうから(文庫は又ページ数違うだろうし)、よくわかりませんが。いずれにしても内容には関係ないですね。
肝心の内容ですが、ジャージの二人の設定を下敷きにしているとはいえ、印象はガラッと変わって、ジャージが別荘での非日常感が強かったのに対して、こちらはアクが強く、出だしはちょっと好きになれない感じがありました。プレイボーイが軽薄で好きじゃないので。ただ、読み進めて行くと人間性がわかってきて、さほど気にもならなくなってきました。
結局この話は皆パラ(パラレル)で行っちゃうので、人間関係の機微を描く話であろうと予想されるにも関わらず、始まりも終わりも感情的にはそんなに変わらず、立場だけがちょっと変わる程度で起伏がほとんどありません。時系列の並び替えもあんまり生きてない。
どちらかというと、淡々とした日常の中の長嶋有的トピック(ゲームとかね)が面白い。これで読ませちゃうってのもすごいセンスだと思うけど、もしかすると世代が限られるかもしれない。東野圭吾の白夜行とかもそんなところがありながらも面白かったので、そういう背景を理解していれば世代なんか関係ない気もするけど。ただ、この辺りはオーバーラップするんだけど、感情移入とは明らかに違う。
という感じで全体に渡ってなんだか感情移入できない話だったのですが、たぶん男性像女性像が自分の感覚からずれていたかなと思います。自分は男なので(著者も男性だけど)、この男達は変だなぁと思うのですが、女もちょっと変な気がするんですよね。水商売の人に知り合いは居ないのでアレですが、別居でデザイナーズマンションに住むとか恥ずかしいから絶対しないと思うし、あんまり真っ赤な口紅の人と付き合いたく無いですよ。
おもしろいんだけど、私の好みではなかったという感じでしょうか。すらっと読めたんだけど。
2008/09/24 Wed [長年日記]
免許の更新
普通運転免許の更新に行ってきた。違反無しなので近所の警察署で更新が出来る。はじめて免許センター以外で更新したけど、速いね。ビデオの講習あわせても40分ぐらいで済んだ。丁度ビデオ講習のタイミングとぴったりだったので、殆ど最短コースだったんじゃないかな。
免許センターで写真撮った時は眼鏡が光るから眼鏡外せって言われたけど、今回は無かったな。眼鏡を外すのが決まりかと思ってたけど、結構適当みたい。他にも聴覚障害者標識というマークも出来ていたし(自動車の運転者が表示する標識(マーク)について)、中型とかいう分類ができたらしい。まぁ、中型の車(マイクロバスとか、中型トラックとか)なんて乗る事は滅多に無いから、これで免許取得のハードルが下がるなら合理的で良い事だ。
新しい免許は本籍地の表示が無くなって、かわりにICカードが埋め込まれているらしい。パスワードを使ってICカードからデータを読み出すと本籍地が分かるらしい。本籍地確認する事なんかあるんだろうか?あと、厚みが増した。ちょっと嫌だね。
私が免許取る前は大判のお守りぐらいのサイズだったらしいから、それに比べれば扱いやすいんだけど、とか思いながら以前の免許のサイズ調べたら6.9cm×9.7cmもあったらしくてビックリ。もう殆ど10センチです。
運転免許証の歴史 一番下の方に写真で免許証の歴史が見られます。
逆転裁判、宝塚で舞台演劇に
カプコンの人気ゲーム「逆転裁判」が、宝塚歌劇で舞台化されることが23日、明らかになった。ゲームが宝塚歌劇になるのは初めてで、宙組の蘭寿とむさんが主演を務める。
これはすごい。色々アレンジされるんだろうけど、面白そうだなぁ。ただ、当然と言えば当然なんだけどビジネス的なもくろみが大きいんだろうね、腐女子臭もするし。演劇はどこも大変そうだから。
2008/09/25 Thu [長年日記]
ボクを包む月の光
ぼくの地球を守っての続編で、亜梨子と輪君の子供の蓮君が主人公。といっても親やその周囲が出ずっぱりで、新しい子供の世界の話というよりもやっぱり前作の設定大きく引きずってます。
特に前作であんなに皆で悩んで前世に捕われず自分の人生を歩むと決めたにもかかわらず人間関係に発展が見られず、カジュアルに超能力を使い、紫苑や木蓮が頻繁に出てくる様子をみると、正直前作が薄っぺらくなっていくようで寂しい限りです。
ぼくの地球の続編にしたのは諸々の事情があり仕方ないのでしょうが、仕切り直さず親世代が頻繁に出てきて因果を子供の世代にまで引きずらせてしまうというのはやっぱり残念ですね。一話一話は面白いので、気になってしまう前作ファンにはお勧めです。
2008/09/27 Sat [長年日記]
リンクから新しいタブをバックグラウンドで開く
たまにWEBブラウザのOperaを使う事があるのだけど、リンク先を新しいタブで開く時に、必ず新しいタブにフォーカスが合わさるので困っていた。
リンクのリストがある場合、気になるリンクをバックグラウンドで新しいタブで開いておいて、見たいリンクを全て抽出後、ひたすら読む作業に移行し、読み終わったらタブを閉じるという閲覧方法が習慣になっているから。この方法だと、全体でどのくらい読んだのかという情報を開いているタブの数で確認できるので分かりやすいし、全て読み終わった時にタブが全て無くなっているというのは気持ちがよい。
しかし、Operaは新しいタブを開く時にフォーカスを移すかどうか設定できない。(opera:configを見ても多分無かった様に思う。ご存知の方は是非教えて欲しい)そのため、読みたいリンクをタブで開くという作業に、新しく開いたタブからリンクのリストが表示されているタブにフォーカスを戻すという作業が必要になって非常に面倒だった。
とりあえず、Ctrl(Command)+Shift+クリックでバックグラウンドで開けるという事が分かったのでメモ。基本的にすぐに新しいタブにフォーカスをあわせたい事の方が少ないので、普通に新規タブオープン時にフォーカスを合わせない設定があると便利なんだけどなぁ。
2008/09/28 Sun [長年日記]
リバーズ・エッジ
高校生の青春群像もので、全体的に荒んでる感じなんだけど、リアリティはあまり無い。最近気付いたのはプロットがケータイ小説っぽい(良い意味で)なと。そういう意味では元祖だよなーと思うんだけど、女性の創作にはなにかこういうものが脈々とある様な気がしました。
ストーリーはテーマの様な物が漠然としていて、ひと言では説明しがたいんだけど、コマ割りやカメラワーク(というのもヘンだけど)なんかが映画的で、眺める様に読む事が出来ます。
内容的にとても楽しい気分にはなれないのだけど、面白いです。
2008/09/29 Mon [長年日記]
武士道セブンティーン
武士道シックスティーンの続編で、2年生になった磯山さん、甲本(西荻)さんのお話です。シックスティーンの最後で甲本さんが福岡に転校してしまい、ふたりで力を合わせて東松学園で全国制覇といった単純な話ではなくなりましたが、お互いの主観を交互に描く構成は健在です。
シックスティーンは磯山さんがどちらかというとメインのお話だったのに対して、セブンティーンは甲本さんの色が強いです。意外な事に剣道バカの磯山さんの話より、甲本さんの話の方が主観として剣道に対する悩みが色濃く描かれていて(性格の違いが大きいのでしょうが)、セブンティーンは剣道一色といった感じですね。学校別剣道では敵同士になってしまった二人ですが、結局セブンティーンでは公式試合での対戦は一度もありません。
シックスティーン、セブンティーンと続いている事や、高校生活が3年間という点から三部作になる可能性が高いので、この対戦はクライマックスまで温存したという所でしょうか。磯山さんと中学時代の因縁があるレナとの戦いも温存されたので、3年生になるエイティーンが楽しみです。
2008/09/30 Tue [長年日記]
アマゾンインスタントストア
アマゾンインスタントストアを作ってみた。 Bulkitem書店
自分で商品をセレクトした仮想ショップをホスティング含めて提供してくれるアマゾンのサービスですね。ホスティングと行っても無料ウェブサービスみたいな物です。
インスタントストアを作るUIが分かりにくかい&やや面倒ですが、誰でも作れるという点に関しては、確かにできそうな感じがしました。























